kira kira blog

キラキラな感じで 。

地雷系

少し煤けた黒いスカートに、フリルが幾重にもあしらわれたブラウス。髪を高い位置で二つに結き、足元にはリボン飾りの付いたテカテカ素材の擦り傷の目立つ靴。それらを身に纏った女性を横目に見ながら既視感を覚えている。昔好きだった系統の服。以前まではロリータファッションとカテゴライズされたそれは現代風の言葉に置き換えると““地雷系“に当たるのかもしれない。

チー牛、モンペ、毒親。次から次へと生み出される蔑称を見聞きするたび、人はうまいこと言葉を当てがってきたものだなぁと良くも悪くも感心する。地雷系についてはそんなに調べたわけじゃないけれど、依存体質でホストに通い湯水のようにお金を注ぎ込むような、扱いやすく頭の弱い女性を指しているのだと何となく予測がついてしまう時点で、まるで脳みそ全体をミソジニーに支配されたようだと自己嫌悪する。名詞一つで彼女たちを見つめる視線の種類まで変わってしまうみたい。ああはなりたくないな、と願ってしまう自分がいて、さらに頭を抱える。

他人の目なんて気にしない、と自らに言い聞かせつつ、過剰に人の目を気にしながらロリータ服を着て外出していた時のことを思い出す。誰にも会わないよう注意を払ってエントランスに向かったものの、エレベーター内でおそらく同じマンション内に住む小さな女の子二人と遭遇してしまったことがあった。二人は私を指差し「お姫様みたい」とはしゃいだ。ロリータ服を着るとはこういう思いがけない不意打ちを喰らうこととニアリーイコールなんだよなあと苦笑しながらも、ありがとうと返した。

それでもロリータのメゾンが好きだし世間の目と闘ってでも好きな物を貫く、と当時はある種の矜持のようなものを抱いていた。

今ではその気合いすら嘲笑うような言葉が用意されている。

そうか、私は昔の私が地雷と雑に括られることに傷ついているんだなと思い至る。