kira kira blog

キラキラな感じで 。

寒がりの不機嫌

軽装で外に出たためか、肌寒さを感じている。いつも着ている裏アルミ加工のモコモコな登山用コートではなく、それよりワンランク薄手なキャラメル色の冬コートを羽織っている。不恰好な見た目のレッグウォーマーを今日は装着せず、指の可動領域を狭めてしまう造りの手袋もカバンの奥へとおしやった。こうして一時の快適さと見映えのため、保温性の高い衣装を削ぎ落としたのがそもそもの間違えだったと気づいた時、気温は間違いなく降下していた。凍える。本当は、肩凝りの一因であるはずの洗濯頻度低めなこのマフラーも外して首を楽にさせてしまいたいが、さすがに身体が震えるから巻いておこう。

街中には自分よりもだいぶ薄着の人たちが、平然と歩いていて、見ていて羨ましい。彼らの身体感覚と自分のそれとを、こっそりすり替えてしまえたらいいのに。そんな願望が叶うわけもなく、独り寒さに耐え続ける。

コートすら着用していない人間については、一人一人とっ捕まえて詰問したくなる。本当は寒いんですよね?痩せ我慢されてるんですよね。お願いだからそうだと言ってくれ、と殴りかかりたくなるほど昂るが、勿論そんなことはしない。ただただ彼らの寒さ耐性に嫉妬する。外気へさらすことのできる肌面積が広ければ広いほど嫉妬してしまう。あまりにも露出が大胆な人がいると、自然と目で追ってしまう。見たくもない蓮コラをつい眺めてしまうのと同じような感覚だ。寒々しくて、鳥肌が立つ。

と、次の瞬間、近くを通りがかった女性が卒然と叫声をあげた。

「てか、今日、くそ暑いんだけど!」

自分とは逆ベクトルの怒り。噴出口を思わず、見た。コートも、マフラーも、タイツもそこにはなかった。